徒然雫

☆もの悲しさ疼く物語☆

喪失  *400文字の雫物語

≪400文字の中に、失われてゆくものへのもの悲しさ疼く物語≫ 喪失 彼女の歯に衣着せぬ発言から滲みだす満たされている者独得の朗らかさが、苦手だった。 優しい両親や素敵なお兄さんからとても大切に、とても可愛がられてきた彼女はとても素直だったのだろ…

憫然  *400文字の雫物語

≪400文字の中に、憂苦に囚われもの悲しさ疼く物語≫ 憫然 夫がまだあの女と逢瀬を重ねている。 罰なのだと思う。 三か月前「寂しかったから……」と目を伏せた夫に、「ごめん」と呟いてしまった。

恋愛未遂  *140文字の恋つぶ

≪140文字(Twitterサイズ)の中へ詰め込めんだ『もの悲しさ疼く恋のつぶやき物語』≫ 恋愛未遂 青い時代の未成熟な心と躰の恋愛未遂。 ほとばしる何かを知ることさえ無駄に思え、ただ突っ走っていた。 可憐な花を見つけては、闇雲に摘みとっていた。

出会いは星の数  *140文字の恋つぶ

≪140文字(Twitterサイズ)の中へ詰め込めんだ『もの悲しさ疼く恋のつぶやき物語』≫ 出会いは星の数 医学生であることチラつかせ、甘い言葉を酔いにまかせて囁けば簡単だ。 欲望が暴走し、想いが弾ける。 「キスは好きな人とじゃないとしたくない」と腕の中か…

思い違いは雨の中  *140文字の恋つぶ

≪140文字(Twitterサイズ)の中へ詰め込めんだ『もの悲しさ疼く恋のつぶやき物語』≫ 思い違いは雨の中 その気にさせておいて、すました横顔の助手席の君。 星空突き抜け、一縷の望み捨てきれず、もう一度誘う。 冷ややかな視線が思い違いだと心突き刺す。

微妙な距離   *140文字の恋つぶ

≪140文字(Twitterサイズ)の中へ詰め込めんだ『もの悲しさ疼く恋のつぶやき物語』≫ 微妙な距離 慌ただしさの中、ドライブへ誘って海へ来た。 触れられそうで触れられない微妙な距離が縮められない。 波の音の中、はぐらかす君へ伸ばしかけた手を躊躇する。

月の下に君  *140文字の恋つぶ

≪140文字(Twitterサイズ)の中へ詰め込めんだ『もの悲しさ疼く恋のつぶやき物語』≫ 月の下に君 月の下に君がいたから恋をした。 波の音に誘われるまま触れる手から零れた想いが繋がりかけて、君は逃げ出した。 見かけた君へ治まらない泡立つ想いを伝える。

恋愛未満  *140文字の恋つぶ

≪140文字(Twitterサイズ)の中へ詰め込めんだ『もの悲しさ疼く恋のつぶやき物語』≫ 錆びついた悲しみ 錆びついた悲しみが時計の針を戻そうともがく。 忘れたはずの恋のカケラを揺り動かす。 もしもの森へ迷いこむ。

刹那的な想い  *140文字の恋つぶ

≪140文字(Twitterサイズ)の中へ詰め込めんだ『もの悲しさ疼く恋のつぶやき物語』≫ 刹那的な想い 波の音に包まれた瞬く星の下、酔いにまかせて束の間の淡い恋。 そんな恋は事故のようなもので、日常の中へするりと消えてゆく。 始める気持ちなんてないくせに…

歪形  *400文字の雫物語

≪400文字の中に、見苦しい心のもの悲しさ疼く物語≫ 歪形 グニャリと歪む。 ペンダントライトを天井から吊るすシャンパンゴールの線が、真っすぐ伸びているはずなのにグニャリと歪んでいる。 まるで生物のようにグニャリグニャリと踊りだす。

気まぐれな稲妻  *140文字の恋つぶ

≪140文字(Twitterサイズ)の中へ詰め込めんだ『もの悲しさ疼く恋のつぶやき物語』≫ 気まぐれな稲妻 心麻痺させる甘い言葉で、愚かに恋の罠に落ちてしまいそう。 出逢ったその日の告白の蜜に、真実を探ろうとする。 蒼白い星たちが、嘲笑うように瞬いている。

順番の違う『想い』  *140文字の恋つぶ

≪140文字(Twitterサイズ)の中へ詰め込めんだ『もの悲しさ疼く恋のつぶやき物語』≫ 順番の違う『想い』 スカートの裾から入り込む手を押しとめる。 同じ空を見上げていた二人の間に、霧で隠れていた溝が現れた。 『好きだ』から、『肌を触れ合わせたい』

『二番目』の響き  *140文字の恋つぶ

≪140文字(Twitterサイズ)の中へ詰め込めんだ『もの悲しさ疼く恋のつぶやき物語』≫ 『二番目』の響き 『二番目』の響きは、哀しい情景を瞼の裏に連れてくる。 遠足バスの隣の空席。 体育授業のペアのいない柔軟体操。

擬態  *400文字の雫物語

≪400文字の中に、テスト期間の教室でもの悲しさ疼く物語≫ 擬態 「勉強した~?」 「やってないよ~」 テスト期間になると交わされる無意味な会話。

懐疑  *400文字の雫物語

≪400文字の中に、疑いを拭えないもの悲しさ疼く物語≫ 懐疑 彩光の中を走り抜ける馬たちを見ていると、急かされているような気持ちになる。 そして胃がキュッと少し上がったような感じになる。 隣を見ると友人は「イケーッ!!」と、周りの人たちと溶け込んで…

姑息  *400文字の雫物語

≪400文字の中に、クリスマスが近づく一時のがれのもの悲しさ疼く物語≫ 姑息 「俺、お前のこと好きみたい」 澄んだ冬の陽射しが射し込む教室のざわめきの中、そう聞こえたような気がした。 私に恋人がいることを知っている彼がそんなこと言うはずがないのだか…

微笑  *400文字の雫物語

≪400文字の中に、可愛さの武器による傷がもの悲しく疼く物語≫ 微笑 4人組の制服姿の女の子たちが、隣の席に座った。 「彼氏とはどう?」の言葉が耳をくすぐってきたので、気付かれないように彼女たちを観察する。

玉響  *400文字の雫物語

≪400文字の中に、始まりかけた恋の思い出にもの悲しさ疼く物語≫ 玉響 空が黄色く染まる季節に駅の改札口に立つと、忘れたはずの玉響の恋にふっと追いつかれそうになる。 あの頃、三歳差が今よりもっと大きく感じられ、彼の若さがただただ眩しかった。 待ち合…

空疎  *400文字の雫物語

≪400文字の中に、教室の中のもの悲しさ疼く物語≫ 空疎 キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン。 時間を切り裂くように終業のチャイムが鳴る。 机の上の教科書とノートを片付け、友人の机までゆく。

憂愁  *400文字の雫物語

≪400文字の中に、ひたむきな想いでもの悲しさ疼く物語≫ 憂愁 ひたむきな想いが後を追ってきて、憂愁の影が伸びてゆく。 落とした絵の具が画用紙の上で広がってゆくように、木々がぱっと朱色に染まった。 誘われるままに美術館へ来たけれど、ズシリと重いもの…