徒然雫

☆もの悲しさ疼く物語☆

懐疑  *400文字の雫物語

 

≪400文字の中に、疑いを拭えないもの悲しさ疼く物語≫

 

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懐疑

彩光の中を走り抜ける馬たちを見ていると、急かされているような気持ちになる。

そして胃がキュッと少し上がったような感じになる。

隣を見ると友人は「イケーッ!!」と、周りの人たちと溶け込んで叫んでいる。

たとえ数百円であっても、賭けごとに人は興奮するのだろう。


「最後のレースだけでも勝てて良かったね」と帰りの電車の中で話す。

「分かっていたら、もっと賭けていたのに~」と友人は悔しそうだ。

「そうだね。1万円くらい……」と言った私を友人が不思議そうな顔で見る。

「来るって分かっているのに、1万円?私なら全財産賭けるよ!」とサラリと言う。


前提条件を疑わない友人が羨ましい。

きっと恋人の気持ちを疑うことも無いのだろう。

今知っている女の子の中から選んだだけで、夢中にはなれない。

躰の触れ合いが欲しいだけで、心の触れ合いはどうでもいい。

物足りなくて何か違うけど、別れるのは面倒臭い。

心の中をかってに妄想して、恋を躊躇する。

 

 

 

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