徒然雫

☆もの悲しさ疼く物語☆

擬態  *400文字の雫物語

 

≪400文字の中に、テスト期間の教室でもの悲しさ疼く物語≫

 

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擬態

「勉強した~?」

「やってないよ~」

テスト期間になると交わされる無意味な会話。

顔に張り付いた笑顔が空々しく見えないように無駄にはしゃぐ。

風が吹けば下着が見えてしまいそうなスカートの裾をギュッと握る。


『真面目だね』と小馬鹿にされ、『カッコ悪いね』と嘲笑されるのを怖れて、イイカゲンな振りをしていた。


高校へ進学すると彼らの『日本語英語(ワザと下手な発音)』は、素晴らしい発音に変わっていた。

中学生の頃はうまく隠していた能力を開放し、白く大きな翼を広げるように生き生きとしている。

それに比べ、空気の色に染まろうともがいていた私の翼はもう薄汚れ折れていた。

『出来ない振り』、『頑張らない振り』が躰と心から抜けなくなるほど翼を痛めていたことに、愚かにも気付いていなかったのだ。

戻れないところまで落ちてゆく。


闇から抜け出すことを諦めた愚鈍な私は、英単語や数式や漢字を覚える代わりに整えた爪に茜色のマニキュアを塗る。

 

 

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