徒然雫

☆もの悲しさ疼く物語☆

輝緑  *400文字の雫物語

 

≪400文字の中に、懐かしいメロディーにもの悲しさ疼く物語≫

 

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輝緑

懐かしい曲が耳をくすぐる。

まだ未来を信じていたあの頃、お気に入りの曲で何度も胸を締め付けられた。


「いい曲あるよ。聴く?」

渡されたイヤホンから流るる曲に耳を澄ます。

「この曲、知ってる。いいよね」

「なんだ。知ってたのか……」とさりげなく外された片方のイヤホン。

青空の眩しさ舞う芝生の上で二人、曲を分け合った。

優しく甘い繊細なウィスパーボイスが、切ない不安を揺さぶってくる。

ふと触れてしまった指先を急に離すのは意識し過ぎてるみたいだから、そのまま瞼を閉じた。

そよぐ風にのった輝く緑の香りが、もどかしい寂しさを儚く癒してくれる。

瞼の向こう側の淡い光の中へ不意に影が落ちてきたので、気付かれないように躰を硬くした。

チャイムが時を切り裂くように鳴り響く。

何も無かった振りして教室へ走った。

 

ひたむきな囁きよりも嘘の恋が叶うと信じていたあの頃。

もう未来を諦めた眠れぬ夜、瞼の裏に漂うのは触れずに透り抜けたためらう唇。

 

 

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